大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

神戸地方裁判所 昭和30年(行)8号 判決

兵庫県加西郡泉町笹倉四〇〇番地

原告

岩井織物株式会社

右代表者代表取締役

岩井恒光

右訴訟代理人弁護士

松井弘行

送達場所

神戸市生田区下山手通六丁目四八

被告

神戸税務署長

右指定代理人大蔵事務官

辻本勇

今井三雄

今安弘

本野昌樹

池永治夫

右当事者間の昭和三〇年(行)第八号法人税更正決定取消等請求事件につき、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

被告が、昭和二六年一二月になした、(1)原告の昭和二一年一二月一日より昭和二二年一一月三〇日までの事業年度分中、原告の中間所得申告額に対する普通所得金額、超過所得金額、これに対する法人税額、加算税額の各更正決定処分及び(2)原告の右事業年度分の確定所得申告額に対する更正決定処分のうち、右(1)の決定における普通所得金額、超過所得金額、これらに対する法人税額、加算税額にあたる部分は、それぞれこれを取消す。

原告のその余の各請求を棄却する。

訴訟費用を一〇分し、その一は国庫の、その余は原告の各負担とする。

事実

第一当事者間の求める裁判

原告は「被告が原告に対してなした(1)原告の昭和二一年一二月一日より昭和二二年一一月三〇日までの事業年度分中、中間所得申告額に対する法人税更正決定、(2)昭和二一年一二月一日より昭和二二年一一月三〇日までの事業年度分の確定所得申告額に対する法人税更正決定中普通所得金額一五万九、七八五円を超えるその余の部分、(3)昭和二二年一二月一日より昭和二三年一一月三〇日までの事業年度分中、中間申告所得額に対する法人税更正決定中普通所得金額五五万八、八四〇円を超えるその余の部分、(4)昭和二三年一二月一日より昭和二四年一一月三〇日までの事業年度分中、中間所得申告額に対する法人税更正決定中普通所得金額九五万一、九五四円を超えるその余の部分の各決定処分を取消す。訴訟費用は被告の負担とする。」旨の判決を求め、

被告は「原告の各請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。」旨の判決を求めた。

第二原告の請求原因

一  原告は、織物の製造、加工並びにこれに付帯する事業を営む目的で、昭和一四年一二月二〇日資本金一八万円をもつて設立した株式会社であるが、大東亜戦争の激化に伴い原告が訴外岩本寛太路、同岩井恒光より借受けていた製織用の機械器具類を政府へ供出したため操業することができず、昭和一九年九月よりは商号を岩井工業株式会社と改め海軍衣料廠の指定工場として軍需用製縫作業に奉仕し、終戦後の昭和二二年七月その商号を再び岩井織物株式会社と改め、昭和二九年五月一〇日までは神戸市生田区中山手通二丁目二八番地に本店を置き、当時の混乱した社会、しかも物資不足、経済不振の時代に耐えて徐々にその目的たる織物業を復活させてきたものである。

二  原告は右のような事情で、(1)昭和二一年一二月一日から昭和二二年五月三一日までの中間申告の計算期間内(上半期)は操業の準備中で綿糸の割当もなく営業収益がなかつたため、同年七月三一日被告に対し無所得の中間申告書を提出し、(2)昭和二一年一二月一日から昭和二二年一一月三〇日までの決定事業年度(実質は下半期)における普通所得金額(課税標準所得金額以下同じ)は金一五万九、七八五円(法人税額五万五、九二四円)であつたので、法定の申告期間内に被告に対しその旨の確定申告書を提出し、(3)昭和二二年一二月一日より昭和二三年五月三一日までの中間申告の計算期間内(上半期)における普通所得金額は金五五万八、八四〇円(法人税額一九万五、五九四円)であつたので、同年一〇月一一日被告に対しその旨の中間申告書を提出し、(4)昭和二三年一二月一日より昭和二四年五月三一日までの中間申告の計算期間内(上半期)における普通所得金額は金九五万一、九五四円(法人税額三三万三、一八三円)であつたので、同年九月七日被告に対しその旨の中間申告書を提出した。

三  しかるに、被告は原告に対し昭和二七年一月一〇日到達の所得金額の更正決定通知書により、前記二(1)の中間申告所得金額につき、その普通所得金額は金七二万九、八三九円、その法人税額は金二五万五、四四三円である旨の、前記二(2)の確定申告所得金額につき、その普通所得金額は金四〇三万九、九七〇円、その法人税額は金一四一万三、九八九円である旨の、前記二(3)の中間所得金額につき、その普通所得金額は金四七〇万九、二五三円、その法人税額は金一六四万八、二三八円である旨の、前記二(4)の中間所得金額につき、その普通所得金額は金二〇〇万三、二五三円、その法人税額は金七〇万一、一三八円である旨の、各更正決定の通告をした。

四  そこで原告は、昭和二七年一月一七日大阪国税局長に対し、前記各更正決定に対する審査請求をしたところ、同局長は昭和二九年一一月九日附で右各審査請求を棄却する旨決定し、同年同月一一日原告にその旨の通知書が到達した。

五  しかしながら、原告の前記各申告期間内における普通所得金額は各その申告書記載のとおりであり、それを超える右の更正決定はいずれも違法であるから、申告額を超える部分につき各その処分の取消を求める。

第三被告の答弁及び主張

(答弁)

原告が織物の製造及び加工を営業目的とする資本金一八万円の株式会社であること、その法人所得につき被告に対し請求原因二(1)ないし(4)記載の各申告書を提出したこと、右各申告に対し被告が原告主張の各更正決定をしたこと(ただし、更正決定は原告の主張する普通所得金額のみではなく、以下に述べる超過所得金額を含んでおり、更正決定の発送日は昭和二六年一二月三一日である。)、原告が請求原因四のとおり右各決定に対して審査請求をなし、それが棄却されその旨の通知がなされたこと、以上の事実を認め、その余の請求原因事実は否認する。

(主張)

一  原告のなした請求原因二(1)の中間申告(昭和二二年上半期)につき調査をしたところ、原告は右事業年度内において、原告の代表者である岩井恒光の個人名義をもつて次の銀行預金がなされていることが判明した。

(1) 帝国銀行三宮支店 普通預金 一五万五、二三二円九六銭(昭和二二年五月三一日現在高)

(2) 三和銀行三宮支店 普通預金 九万〇、二〇八円六〇銭(右同)

(3) 帝国銀行三宮支店 通知預金 五〇万円 (昭和二二年一一月三〇日現在)

(4) 神戸銀行北条支店 普通預金 二、八一九円六〇銭(昭和二二年四月二八日現在高)、同じく二万〇、一〇〇円〇二銭(同年三月一〇日現在)、同じく五万六、八七六円(同年四月九日現在高)

以上合計 八二万五、二三七円一八銭

右の預金は、原告が事業活動の結果取得した簿外財産(隠し財産)であつて当期の利益金と認められるので、原告がその申告書に添付した貸借対照表に当期利益金として計上している金三万三、八六五円に右の預金金額を加算すると八五万九、一〇二円(円位未満切捨)となるところ、前記に生じた欠損額一二万九、二六三円を減額控除すると当期の利益額は金七二万九、八三九円となる。そこで被告は、原告の右事業期間(昭和二二年上半期)における普通所得額を七二万九、八三九円、法人税法(昭和二五年法律第七二号による改正前の法律以下同じ。)所定の超過所得額を七二万〇、八三九円、以上の所得に対する法人税額を計四六万九、四九五円、法第四二条による加算税額を二一万二、七三八円とする旨の更正決定をした。

二  原告のなした請求原因二(2)の確定申告(昭和二二年度分)につき調査をしたところ、原告は次のような簿外財産及び負債を有することが判明した。

(一) 岩井恒光名義の銀行預金(計一六三万六、五九二円五四銭)

内訳

(1) 帝国銀行三宮支店 普通預金二万七、六四二円一四銭(昭和二二年一一月三〇日現在高)

(2) 同銀行 無記名定期預金五〇万円

(3) 同銀行 福徳定期預金九万円

(4) 同銀行 通知預金五〇万円

(5) 三和銀行三宮支店 普通預金一〇万〇、七四八円九一銭(昭和二二年一一月三〇日現在高)

(6) 神戸銀行北条支店 普通預金九万二、〇〇一円七〇銭(昭和二二年一一月二六日現在高)、同じく金二二万四、八六六円〇三銭(同年同月二五日現在高)、同じく金一〇万一、三三三円七六銭(同年同月三〇日現在高)

(二) 仮渡金(債権)

宮川謙三に対し絹紡原糸代 一〇〇万円

(三) 仮払金(債権)

岩井商事(株) 五万七、四三〇円

三及商事(株) 一八万三、四八〇円七六銭

加西縫工(株) 一三万六、五七八円五五銭

計 三七万七、四八九円三一銭

(四) 簿外負債

岩井商事(株)より仮受金 八万円

(五) 架空負債(計二〇万〇、〇六四円九三銭)

(1) 貸借対照表中の借入金中岩井恒光名義のもの五万一、二八五円六五銭

(2) 仮受金の内岩井恒光名義のもの金一四万八、七七九円二八銭

以上の差引利益金三一三万四、一四六円は、原告が事業活動の結果取得したものと認められるので、右利益額に原告が貸借対照表において当期の利益金として計上している金二八万九、〇四八円及び同対照表において未払金として計上している金七四万六、〇三九円(債務未確定のため資産とみなすべきもの)を加算した金四一六万九、二三三円より前記法人税法(以下単に法という)第九条により控除すべき前一年以内の欠損金額一二万九、二六三円を控除するとその残額は金四〇三万九、九七〇円となる。そこで被告は、原告の昭和二一年一二月一日より昭和二二年一一月三〇日までの事業年度における普通所得額を四〇三万九、九七〇円、超過所得額を四〇二万一、九七〇円、その法人税額を計二六一万六、〇八〇円、法第四二条による加算税額を七九万二、〇七二円とする旨の更正決定をした。

三  原告のなした請求原因二(3)の中間申告(昭和二三年上半期)につき調査したところ、原告は右期間中に次のような簿外財産及び負債を有することが判明した。

(一) 岩井恒光名義の銀行預金(計二七二万七、二五四円七八銭)

内訳

(1) 帝国銀行三宮支店 普通預金 四〇万九、七七四円八五銭(昭和二三年五月一七日現在高)

(2) 同支店 無記名定期預金 五〇万円

(3) 同支店 福徳定期預金 九万円

(4) 三和銀行三宮支店 普通預金 四〇四円七五銭(同年五月三一日現在高)、同じく金一五万二、八九五円二六銭

(5) 神戸銀行本店 無記名定期預金 五〇万円

(6) 神戸銀行北条支店 普通預金 四六万五、四二三円〇九銭(同年五月二九日現在高)、同じく二〇万六、二七三円五六銭(同年同月三一日現在高)、同じく四〇万二、四八三円二七銭(同年三月二三日現在高)

(二) 前渡金(債権)

宮川謙三絹紡原糸代前渡 三五〇万円

(三) 貸付金(計二七〇万〇、一八〇円)

(1) 岩井織物(株)第二回増資金一八五万円

(2) 岩井商事(株)第一回増資金八二万円

(3) 未収利子(以上の貸付金に対する日歩二銭五厘の割合)三万〇、一八〇円

(四) 仮払金(計一四九万九、一一三円四〇銭)

(1) 三及商事(株) 一七万三、四四一円八〇銭

(2) 岩井商事(株) 一〇八万七、四三〇円

(3) 加西縫工(株) 二三万八、二四一円六〇銭

(五) 簿外負債

岩井商事(株)より仮受金八万円

(六) 未計上負債(前記所得に対する事業税引当金)七八万七、七九四円

(七) 架空負債(計二九万七、四六四円九三銭)

(1) 貸借対照表の借入金中岩井恒光名義のもの五万一、二八五円六五銭

(2) 同じく仮受金中岩井恒光名義のもの二四万六、一七九円二八銭

(八) 架空資産

貸借対照表の仮払金中岩井恒光名義のもの金一八三万円

以上の差引利益額四八九万二、〇七二円は、原告が事業活動の結果取得したものと認められるので、右利益額に原告が貸借対照表において同期の利益金として計上している金五五万八、八四〇円及び損金に算入していた非戦災者特別税(同税法五一条)四、三八〇円を益金として加算すると計五四五万五、二九二円となる。これより前期で損金計算を否認した未払金七四万六、〇三九円を当期の損金(債務確定による)と認めこれを控除すると金四七〇万九、二五三円となる。そこで被告は、原告の右事業期間(昭和二三年下半期)における普通所得額を四七〇万九、二五三円、超過所得額を四三四万二、〇〇七円、その法人税額を計二四六万一、五五二円、法第四二条による加算税額を一二二万〇、四六二円とする旨の更正決定をした。

四  原告のなした請求原因二(4)の中間申告(昭和二四年上半期)につき調査したところ、原告は右期間中に次のような簿外財産及び負債を有することが判明した。

(一) 現金 一〇万八、三五八円九六銭

(二) 岩井恒光名義の銀行預金(三二七万八、九〇四円七六銭)

(1) 帝国銀行三宮支店 普通預金三〇万一、八〇三円五六銭(昭和二四年五月三一日現在高)、同じく四万五、三四二円(同年同月三〇日現在高)

(2) 同支店 福徳定期預金九万円

(3) 三和銀行三宮支店 普通預金四一〇円五七銭(昭和二四年五月三一日現在高)、同じく一、四八三円一七銭(右同)

(4) 第一銀行神戸支店 普通預金一万二、六六四円九八銭(昭和二四年五月三一日現在高)、同じく五六万七、八九一円七四銭

(5) 神戸銀行本店 無記名定期預金五〇万円

(6) 神戸銀行北条支店 普通預金四七万八、二〇二円四四銭(昭和二四年五月二六日現在高)、同じく一二七万一、二八八円一六銭(同年四月二五日現在高)、同じく九、八一八円一四銭(同年五月三〇日現在高)

(三) 貸付金(計一、三九一万〇、五八一円)

(1) 岩井織物(株)第二回増資金一八五万円

(2) 岩井商事(株)第一回増資金八二万円

(3) 加西縫工(株)第二回増資金二五〇万円

(4) 同会社の第三回増資金一七七万円

(5) 岩井商事(株)第二回増資金二〇〇万円

同 第三回増資金二〇〇万円

(6) 岩井織物(株)第三回増資金二二五万円

(7) 未収利子(以上の貸付金に対するもの)七二万〇、五八一円

(四) 有価証券(計二四万九、七五〇円)

(1) 帝国銀行株式二、〇〇〇株 一〇万円

(2) 第一銀行株式五、〇〇〇株 二五万円

(3) 右株式に対する価格低下損 一〇万〇、二五〇円

(五) 貸付金(計一二三万八、四四六円二七銭)

(1) 岩井商事(株) 七三万八、四四六円三七銭

(2) 加西産業共済組合 五〇万円

(六) 仮払金

加西縫工(株) 三〇万円

(七) 簿外負債(計一七六万三、四九八円)

(1) 三及商事(株)より仮受金 七六万三、四九八円

(2) 岩井商事(株)より借入金 一〇〇万円

(八) 未計上負債(計二八五万一、五〇三円)

自昭和二一年一二月一日 至昭和二二年一一月三〇日)事業税引当金七八万七、七九四円

自昭和二二年一二月一日 至昭和二三年一一月三〇日)同上引当金二〇六万三、七〇九円

(九) 架空資産

貸借対照表の貸付金中の岩井恒光名義のもの一七万二、二〇六円二九銭

以上の差引利益額一〇七万四、六一〇円は、原告が事業活動の結果取得したものと認められるので、右利益額に原告が貸借対照表において当期の利益金として計上している金九五万一、九五四円を加算し、これより前記減価償却超過額の当期損金(法人税法施行細則第三条)二万三、三一一円を控除すると金二〇〇万三、二五三円となる。そこで被告は、原告の右事業期間(昭和二四年上半期)における普通所得額を二〇〇万三、二五三円、法所定の超過所得額を六五万一、〇二七円、その法人税額を計七六万六、二四一円、法第四二条による加算税額を七万九、七五八円、追徴税額を一〇万五、五〇〇円とする旨の更正決定をした。

五  原告は、本訴で取消を求めている更正決定所定の各年度の本税、加算税等の税金額を、昭和四四年五月三一日に被告に対して完納した。しかし確定裁判により右の更正決定が取消されたときは、国税通則法第五六条により過誤納金として特段の手続によることなく直ちに原告に還付すべきものであることは認める。

第四被告の主張に対する原告の認否及び反論

一  被告主張の各資産及び負債が原告のものであることは否認する。

被告主張の第三、一、(1)ないし(4)、同二、(一)の(1)ないし(6)、同三、(一)の(1)ないし(6)、同四、(二)(1)ないし(6)記載の各銀行預金はその名義のとおり岩井恒光個人の預金であり、同じく第三、二、(二)の仮渡金、(五)の負債、同じく第三、三、(二)の前渡金、(三)の貸付金、(七)の負債、(八)の資産、同じく第三、四、(三)の貸付金、(四)の有価証券、(九)の資産は、いずれも岩井恒光個人のものである。右主張第三、二、(三)の仮払金、(四)の負債、同じく第三、三、(四)の仮払金、(五)(六)の負債、同じく第三、四、(五)の貸付金、(六)の仮払金、(七)(八)の負債については原告のものとしても全く存在しない。

二  訴外岩井恒光が以上のような個人財産を有する理由は、同人は原告の業務執行とは別に個人として次のような収入を得たためである。

(1)  原告は、岩井恒光の父寛太郎が個人企業として経営していた織物加工業を昭和一四年一二月二〇日会社組織に改め、その設立手続をしたものであるが、その資本金一八万円は専ら運転資金に充てられ、工場敷地約二、〇〇〇坪、工場建物延べ約一、〇〇〇坪、製織機械約二五〇台は右寛太郎及び恒光の個人所有のままこれを原告に貸与していた。右会社設立の頃には寛太郎は不動産その他の多額の資産を有し播洲一の多額納税者であり、訴外恒光も田、宅地、建物等の個人財産を所有していた。ところが、大東亜戦争の激化に伴い昭和一八年末、前記の製織機械類一切を政府に供出することとなり、昭和一九年二月政府より右買収代金として寛太郎において金三二万八、一三一円、恒光において金六万三、一七〇円を特殊預金の形式で受領した。

(2)  訴外岩井恒光は、昭和一八年二月大東亜省より南方移駐要員としてスマトラメダン市において織物製造業を経営すべき旨の命令を受け(それより前に恒光の弟一太が右の命令を受け兵庫県当局及び国民更正金庫の指示支援により兵庫県下一円より南方移駐経営に必要な製織機械二〇〇台以上を集めその準備をしていたところ、同人が召集を受け出征したため同人に代え恒光が右の命令を受けた。)昭和一九年七月に到り漸く総ての機械器具の集荷梱包を完成し船便を待機していたところ、間もなく恒光も召集を受け呉海兵団に入団したため、右の南方移駐命令は事実上中止の形となり、右集荷にかかる機械器具類は原告工場の敷地内に仮小屋を建てて保管していた。ところが敗戦の結果政府の前記計画は崩壊したため、訴外恒光は昭和二〇年一二月一三日国民更正金庫(神戸支所)より右機械類一切を代金二五万九、八〇七円で払下を受けたうえこれを代金合計五一三万七、一〇〇円で処分し、その差額金四八七万七、二九三円の利益を得た。

(3)  訴外岩井恒光は、原告の代表取締役を勤めたほか、終戦前より岩井商事株式会社、三及商事株式会社の各社長、加西縫工株式会社の取締役を勤め、終戦後の昭和二二年二月二七日より昭和二五年五月までは加西織物工業協同組合の理事長、昭和二二年一〇月より昭和二五年五月までは兵庫県織物連合会の副会長に就任し各方面にわたり活躍したので、恒光の個人収入は相当な額に上つていた。

被告は、前記関係会社に対する出資は、原告の営業利益よりなされたと主張するけれども、右の出資は岩井恒光が個人の資金より出資したものである。

(4)  訴外岩井恒光は、昭和一九年二月頃、繊維製品の販売業を営む訴外松寿商事有限会社(本店・神戸市旧神戸区浪花町六〇、社長松江保行)に対し約一五万円の債権を有していたところ、同社が倒産したため債権者会議の結果恒光(個人)において同社に対する他の債権者の債権約四五万円をその三割に当る金額で買取り(その買受代金は岩井恒光振出の約束手形で決済した)その代償として同社の在庫商品(繊維製品)全部と売掛金債権一切を譲り受けた。右譲受商品の同年八月末日現在における〈公〉価格は合計三二万一、八二五円八六銭であつたが、恒光は昭和二〇年一一月復員して以後右譲受商品を処分し約二、〇〇〇万円の利益を得た。

(5)  訴外岩井恒光は、昭和二三年一二月訴外丸菱商事株式会社の代表者野間貞規を通じ中央紡績株式会社よりその製品二〇番手綿糸二〇〇梱の買受契約を結び、内一〇〇梱の引渡を受けたところ、綿糸高騰の結果これを処分して約一、二〇〇万円の利益を得た。

(6)  訴外岩井恒光は、神戸市兵庫区下沢通、川上布帛株式会社々長川上茂に対し、昭和二二年八月金一〇〇万円を、同年一一月金一五〇万円をいずれも期限一年の定めで貸与し、その結果約三三五万円の利益を得た。

(7)  訴外岩井恒光は、昭和二二年七月頃より昭和二四年二月頃までの間に、乗用自動車八台の売買取次をなし、合計三九四万円の利益を得た。

三  原告が、被告主張のとおり本訴で争つている各年度の法人税、加算税等を被告主張の日に納付したことは認めるが、それは被告が原告に対し執行中の滞納処分の解除を得るため、不本意ながらやむを得ず納付したものであり、裁判により右の更正決定が取消されるときは被告は国税通則法第五六条により、右納付税額を過誤納金として訴等の特段の手続によることなく直ちに原告に還付しなければならないので、原告の本訴における訴の利益には何らの影響がない。

第五証拠関係

一  原告

甲第一号証、第二号証の一から六まで、第三号証の一、二、第四号証の一から三まで、第五ないし第九号証、第一〇号証の一から七まで、第一一号証の一から一四まで、第一二号証の一、二、第一三号証、第一四号証の一から八まで、第一五号証の一から五まで、第一六ないし第一八号証、第一九号証の一、二、第二〇号証の一、二、第二一号証の一から四まで、(第二二号欠号)、第二三号証の一ないし三を提出し、証人宮川謙三、同土肥志郎、同友井すゑ、同岩井寛太郎、同岩井一太、同黒田春雄、同富永正典、同野間貞規、同川上茂、同五味五兵衛、同松岡仙次、同有田昭、同黒田己代治、同広藤啓輔、同湯川春雄の各証言及び原告の代表者岩井恒光の尋問の結果を各援用

乙第一ないし第一〇号証、第一一号証の三、第一三ないし第一七号証、第二一、二二号証、第二三号証の一、二、第三八号証、第四〇号証の各成立を認め、その余の乙号各証の成立は不知。

二  被告

乙第一ないし第一〇号証、第一一号証の一から三まで、第一二ないし第二二号証、第二三、二四号証の各一、二、第二五号証の一から三まで、第二六号証の一、二、第二七ないし第四〇号証を提出し、証人惣川豊(第一、二回)、同片山満、同有本玉治、同池田 の各証言を援用。

甲第一号証、第二号証の一から六まで、第三号証の一、二、第四号証の一から三、第五号証、第一二号証の一、二、第一三号証の各成立を認め、その余の甲号各証の成立は不知。

理由

第一  原告が織物の製造及び加工を業とする資本金一八万円の株式会社であること、原告が被告に対して請求原因二(1)ないし(4)記載の各法人所得の申告をしたことは当事者間に争いがなく、成立に争いのない乙第一ないし第四号証に弁論の全趣旨を合わせると、被告は右(1)の申告に対して普通所得金額七二万九、八三九円、超過所得金額七二万〇、八三九円、これらに対する法人税額四六万九、四九五円、加算税額二一万二、七三八円とする旨の、(2)の申告に対して普通所得金額四〇三万九、九七〇円、超過所得金額四〇二万一、九七〇円、これらに対する法人税額二六一万六、〇八〇円、加算税額七九万二、〇七二円とする旨の、(3)申告に対して普通所得金額四七〇万九、二五三円、超過所得金額四三四万二、〇〇七円、これに対する法人税額二四六万円一、五五二、加算税額一二二万〇、四六二円とする旨の、(4)の申告に対して普通所得金額二〇〇万円三、二五三円、超過所得金額六五万一、〇二七円、これらに対する法人税額七六万六、二四一円、加算税額七万九、七五八円、追徴税額一〇万五、五〇〇円とする旨の各更正決定をなし、昭和二六年一二月末原告に宛てその旨の通知を発し、昭和二七年一月一〇日頃原告に到達したことが認められる。そして原告が右決定に対して大阪国税局に審査請求をしたところ、同局長は右審査請求を棄却し昭和二九年一二月一一日その旨の通知が原告に到達したことは当事者間に争いがない。

第二  成立に争のない乙第四〇号証によれば、原告は昭和四四年五月三一日本件係争の各法人税、加算税、延滞税等を大阪国税局に納付したことが認められるけれども、弁論の全趣旨によれば、原告の右納付は本件各更正決定の正当性を承認して納付したものではなく、あくまでも本訴における主張を維持し、右各更正決定処分取消の裁判を得て前記納付金の還付を受ける意思であり、そして裁判により右各更正決定の取消または変更が確定したときは、国税局長は国税通則法第五六条により過誤納金として遅滞なく(還付請求訴訟等特段の手続を要せずに)金銭をもつて還付しなければならないものであることが認められるので、原告は本件訴につきなお訴の利益を有するものと解すべきである。

第三  そこで、被告が前記各更正決定の理由として答弁において主張する、一ないし四の原告(会社)の所得の有無につき判断する。

一  昭和二二年上半期の所得

被告主張一の(1)ないし(4)記載の各銀行預金が岩井恒光名義でなされていたことは当事者間に争いがない。被告は右の各預金は原告の代表取締役である岩井恒光が原告の営業上の利益金を個人名義で預金したものであつて、原告の取得財産であると主張するので考察するに、成立に争のない甲第三、第四号証の各一、二、第五号証に証人岩井寛太郎、同岩井一太、同黒田春雄、同富永正典の各証言及び原告の代表者岩井恒光の尋問の結果を総合すると、原告は右岩井恒光の父寛太郎が明治四一年創業以来岩井寛商店なる商号を用いて個人企業として営業を続けてきた製織及び織物加工業を、昭和一四年一二月会社組織に改め、資本金一八万円をもつて設立した(ただし、資本金は運用資金にあてられた)株式会社であるが、大東亜戦争の激化に伴い昭和一八年末頃使用中の製織機械類を一切供出することとなり翌一九年二月までの間にその供出を終り、その供出代金として寛太郎名義の機械類に対し金三二万八、一三一円が、恒光名義の機械類に対し金六万三、一七〇円がそれぞれ封鎖預金の形で支払われたこと、そのため原告の前記営業は完全に廃業状態となつたが昭和一九年三月頃より海軍衣料廠の指定工場としてメリヤス類の縫製を命ぜられ、社名を岩井工業株式会社と改め、岩井恒光が会社責任者となつて軍の管理監督のもとに衣料廠の設備したミシン機械を使用して右の縫製作業に従事し、その加工賃収入を得ていたが、岩井恒光も同年八月一五日海軍に召集されて入隊し、終戦後の昭和二〇年一一月に復員したこと、岩井恒光は復員後岩井織物株式会社の再建を企図しこれに必要な製織機械については、右応召前に政府の指示勧奨により南方スマトラ方面に移駐し、日東紡績と提携して綿布類の製織工場を建設するため既にその筋を通じ募集梱包済であつた右機械類(約二五〇台)の払下を受け昭和二一年春頃より徐々に右機械類を工場に据付けて操業を開始し、昭和二二年七月社名を再び岩井織物株式会社と改めその登記を受けたこと、がそれぞれ認められ、以上の事実より考察すれば、同年二一年一二月一日より昭和二二年五月三一日までの間(上半期)にあつては、原告の営業収入は少なく営業上の必要経費を控除すれば、課税の対象となる所得はなかつたものと推認するのが相当である。被告は前掲主張一(1)ないし(4)記載の銀行預金(右各預金の存したことについては原告も争わない。)は原告が右の期間(上半期)中に営業上あげた収益を岩井恒光の個人名義の預金としたものであると主張するけれども、成立に争いのない甲第二号証の二、五、六に原告代表者の尋問結果により成立を認むべき甲第一〇号証の一ないし七及び右の尋問結果を綜合すれば、岩井恒光は終戦前より個人財産として北条町において田地七反四畝五歩、宅地三一六坪、山林二畝一一歩、建物七七坪一合を、神戸市内において宅地一九一坪、建物三戸(建坪計一二七坪五合)を所有し昭和二一年当時右不動産による所得もあり、また戦前及び戦時中を通じ訴外岩井商事株式会社、同三及商事株式会社、同加西縫工株式会社の取締役を勤め役員収入があり、応召の当時には合計二〇万円を超える個人預金があつたこと、昭和二二年上半期において織機の一部、罹災建物の煉瓦、自動車部品、タイヤ等を売却し、農業所得を合わせ計一一〇万九、〇〇〇円の金銭収入のあつたことが認められるので、被告の前記主張はたやすく採用しがたく、他に右の各預金が原告(会社)の営業収入によるものと認むべき証拠はない。よつて被告のなした原告主張(請求原因)三(1)の更正処分は違法というべく、取消を免れない。

二  昭和二二年下半期以後の所得

(1)  原告代表者岩井恒光の尋問結果により成立を認むべき甲第一一号証の一、七、八、同第一四号証の一ないし八、同第一五号証の一ないし五、同第一六号証に右尋問の結果並びに弁論の全趣旨(ことに物品売却明細書と題する書面の記載)を綜合すると、原告は昭和一九年二月頃訴外松寿商事有限会社(神戸市神戸区(旧)浪花町六〇番地所在)に対し約一五万円の商取引上の債権を有していたところ、同会社は他に約三六万円の負債があつて倒産したため、債権者間でその対策を協議した結果、大口の債権者である原告の代表者岩井恒光が個人の資格で右松寿商事の所有する在庫商品(甲第一六号証記載の衣料品、当時の〈公〉価格に換算して金三五万六、二三一円)及び債権の譲渡を受けその代償として右松寿商事の負担する債務額の三割にあたる債務を引受けて弁済することとなり(形式上は岩井恒光が松寿商事有限会社の代表取締役となつて処理した。)、原告以外の債権者に対しその債権額の三割に当る合計金一二〇万〇、七七四円三五銭を現金及び岩井恒光振出の約束手形をもつて支払い、右衣料品の引渡を受けたこと(当時原告会社は操業用機械類を供出して廃業状態にあつたのであるから、右の支払が会社の資金によりなされたものとは認めがたい。)右衣料品は当時実施されていた衣料統制のルートに乗せることなく父寛太郎の郷里または縁故先の田舎の倉庫に格納していたが、右恒光が復員して以後昭和二二年八月頃から昭和二四年一一月頃までの間にいわゆる闇販売をなし、約二、〇〇〇万円にのぼる利益を収めたことが認められる。ところで右利益の内少くとも原告の有していた債権額に対照する金額は代物弁済物の換価処分による利益として原告の所得に帰属したものと解すべきところ、その金額は右売上利益額と債権額との比率五一分の一五にあたる金五八八万円を下らない金額となる。

(2)  原告は、事実摘示第四、二、(2)において、訴外岩井恒光は南方移駐のため集荷し梱包してあつた前記機械類を昭和二〇年一二月頃、岩井恒光個人の資格で国民更正金庫より代金二五万九、八〇七円で払下を受け、これを昭和二三年度中に他へ売却処分して金五一三万七、一〇〇円の個人利益を収めた旨主張し、原告代表者岩井恒光はその尋問において同旨の供述をするけれども、証人黒田春雄の証言に弁論の全趣旨を合わせると、右の機械類は岩井恒光が右のとおり払下を受け、その大部分(織機約二二〇台)は原告の工場に備えつけ、原告の経理上の処理として原告が織機二二〇台を新規に購入したという方式をとつたものであることが認められ、原告代表者岩井恒光の尋問結果により成立を認むべき甲第一一号証の二ないし六、九ないし一二によれば岩井恒光が他に売却処分したものは右機械中の不要部品及び梱包材料の類であることが認められるので、右供述のような多額の個人収入を得たものとは認められず、右認定に反する前記岩井恒光の供述は信用しがたい。

(3)  被告主張の第三、二、(二)の前渡金一〇〇万円、同三、(二)の前渡金三五〇万円につき検討するに、右二(二)の前渡金一〇〇万円についてはその支出を認めるに足る証拠がない。しかしながら右三(二)の前渡金三五〇万円については、成立に争いのない乙第九号証(岩井恒光の調書)に証人宮川謙三の証言及び同証書言により成立の認められる甲第二〇号証の一、同じく乙第三七号証、証人土肥志郎の証言及び同証言により成立の認められる甲第二〇号証の二、同じく乙第三四なないし第三六号証並びに証人惣川豊の証言を綜合すると、右の前渡金は蚕糸統制会社より蚕糸の売渡しを受け、原告及び土肥志郎の経営する土肥織布においてその賃加工をなし収益をあげる目的で、蚕糸買付の前渡金(兼契約保証金)として訴外宮川謙三の仲介により原告会社発行の小切手をもつて土肥志郎の手を経て右蚕糸統制会社に納入され、売渡しを受けた蚕糸五〇〇反分の内三四〇反分は原告に引渡されたこと。右土肥が引渡を受けた蚕糸に対する代金の支払は同人より原告宛に送金のうえ決済されたことが認められるので、右の前渡金三五〇万円は原告の資金より支出されたものと推認するのが相当であり、仮に右前渡金が岩井恒光の個人資金より調達されたものであるとしても、原告は右蚕糸の製織加工により前渡金額を上廻る収益をあげ所得をえたものと推認される。しかるに原告の帳簿には右蚕糸及び製織加工に関する記帳がなく、従つて所得申告上その収支が全然除外されていることが認められる。前掲証拠中の右認定に反する部分及び原告代表者の尋問結果中前認定に反する部分は信用しがたい。

(4)  原告は、事実摘示第四、二、(5)において、訴外岩井恒光は昭和二三年一二月訴外丸菱商事株式会社の代表者野間貞規を通じ中央紡績株式会社よりその製品二〇番手綿糸二〇〇梱の買受契約を結び、内一〇〇梱の引渡を受け、これを売却処分して約一、二〇〇万円の利益を得た旨主張し、原告代表者岩井恒光はその尋問において同旨の供述をするけれども、個人取引である旨の右供述部分は信用することができず(なお商法二六四条参照)、むしろ証人野間貞規の証言に弁論の全趣旨を綜合すれば、右主張の取引は右岩井恒光が原告の代表者としてなしたものと認めるを相当とし、従つて右の転売利益約一、二〇〇万円は原告の営業所得にあたるものというべきである。

(5)  以上(1)ないし(4)の認定によれば、原告は昭和二二年六月一日以降昭和二四年一一月三〇日までの間に少くとも二、〇〇〇万円を下らない営業所得を得たことが認められるところ、原告の経理には所得として計上されておらず、また被告税務署に対してもその所得申告がなされていないこと(さらに岩井恒光の個人所得としても申告されていないこと)は弁論の全趣旨により明らかである。

三  ところで、被告が認定した原告の所得(但し原告が本訴で取消を求めている分)は事実摘示第三、二ないし四のとおり、昭和二二年事業年度分、取消を認むべき上半期の更正額を差引いた金三三一万〇、一三一円、昭和二三年上半期が金四七〇万九、二五三円、昭和二四年上半期が金二〇〇万三、二五三円であつて、その総計額は金一、〇〇二万二、六三七円である。被告は右各年度の原告の所得を算定するにつき、前記摘示欄記載の岩井恒光の個人名義預金、無記名預金、会社帳簿上の貸付金、仮払金等を根拠としたものであるが、前認定の原告の所得が各期毎に被告主張のような形式を利用して隠蔽秘匿されたことは、弁論の全趣旨及び社会の実情に照らし容易に推測しうるところであり、被告の右各算定額は本訴主張外の更正額を考慮してもそれぞれ前認定の実質所得を超えていないと認められるので、被告のなした本件の各更正処分は昭和二二年度(上半期)の中間申告に対する更正を除き、当事者双方主張のその余の争点につき一々判断するまでもなく、結局正当として是認すべきものと認める。

四  結び

よつて、被告が昭和二六年三月になした(1)原告の昭和二一年一二月一日より昭和二二年一一月三〇日までの事業年度分中、原告の中間所得申告額に対する普通所得金額及び超過所得金額の更正決定処分、及び(2)原告の右事業年度分の確定所得申告額に対する普通所得金額及び超過所得金額の更正決定処分のうち、右(1)の普通所得金額、超過所得金額、これらに対する法人税額、加算税額にあたる部分は、それぞれこれを取消すべきものと認め、原告主張のその余の年度における更正決定処分の取消を求める各請求は、いずれも理由がないと認め棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条第九二条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 原田久太郎 裁判官 竹田国雄 裁判官 岡本多市)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例